がん
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がんとは
一般に癌や悪性新生物あるいは悪性腫瘍と呼ばれます。がんは、年齢とともにリスクが高まり、3人に1人が死亡するといわれて、日本人の死因第1位です。様々な病気のなかで最も死亡率の高い病気にもかかわらず、初期にほとんど自覚症状がありません。そのため、健康診断などで発見されることが多く、発見されたときにはすでに進行していたというケースも少なくありません。
がんの進行度はステージⅠ~Ⅳで表し、Ⅰが早期、Ⅳが最も進行している状態となります。またステージの判定は、がんの広がり(大きさ)、リンパ節へ転移の有無、多臓器への転移の3つの基準を元に分類されます。
ステージⅠ 腫瘍が筋肉の層まででとどまっており、リンパ節に転移はしていない状態
ステージⅡ リンパ節に転移はしていないが、筋肉の層を超えて浸潤している。または、リンパ節に少し転移している状態
ステージⅢ 腫瘍が筋肉の層を超えて深く浸潤しており、リンパ節転移もみられる状態
ステージⅣ 血行性転移が見られ、離れた臓器に転移している状態
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原因
がんは未解明の部分が多い病気で、発生原因やメカニズムについても、まだ完全に解き明かされていません。遺伝などの先天的な体質や、生活習慣などが複雑に絡み合って発症する場合が多いと考えられています。
私たちの体は約60兆個の細胞からなっており、絶えず分裂し、新しく生まれ変わっています。その過程において、発がん物質などの影響で遺伝子が突然変化して、がん細胞ができます。ただし、すぐにがんになるわけではありません。それらが異常な分裂・増殖をくり返し、10~20年かけてがんになります。
がんの発生因子
- 多量の飲酒
- 喫煙
- 塩分のとりすぎ
- 果物・野菜不足
- 熱すぎる食べ物や飲み物の刺激
- 動物性食品のとりすぎ
- 肥満
- ストレス
- 遺伝
- ウィルス
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主な疾患
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大腸がん
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男女ともに、急増しているがんです。増加の背景には食生活の欧米化が進んだためで、今後も増加するとされています。40歳頃から増え始め、高齢になるほどリスクが高まります。進行すると、血便のほか、便秘や下痢などの症状が現れますが、初期には自覚症状はほとんどありません。
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胃がん
塩分やピロリ菌が最大の要因と言われ、塩分の濃い味を好む日本人に多くみられます。また50歳以上の日本人はピロリ菌に感染していると言われていますので、注意が必要です。ですが近年はピロリ菌の新たな感染が減ってきています。胃がんの初期は無症状のことが多く、進行すると胃痛や胸焼けなどが見られます。一方、進行すると胃の入り口付近のがんの場合に、食事がのどを通らなくなってしまうことがあります。また、胃の出口付近のがんの場合、胃の中に食べたものがたまり、わずかな量の食事でもおなかが張ってくる感じがすることがあります。
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肺がん
男女ともに死亡数の多いがんで、発見が遅くなるほど死亡率が高くなります。最大の要因は喫煙です。喫煙者が肺がんになるリスクは非喫煙者と比べて5~20倍とも言われています。早期では自覚症状がほとんどなく、あっても咳や痰などかぜの症状に似ているため受診されるケースは少なく、健診などで見つかることが多くあります。
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肝臓がん
肝臓は「沈黙の臓器」とも言われ、がんができてもよほど進行しない限りは症状があらわれません。がんが進行すると、腹部のしこりや圧迫感、痛み、おなかが張るなどの症状を訴える人もいます。B型肝炎やC型肝炎から発症することがほとんどですが、肝硬変や慢性肝炎から発症することもあります。
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前立腺がん
男性特有のがんです。50歳代から増え始め、年齢を重ねるほど発症リスクが高まります。初期にはほとんど自覚症状がなく、進行すると尿が出にくい、尿の回数が増える、排尿後の残尿感などの症状が出現します。
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乳がん
日本人女性がかかるがんのなかで最も多いがんで、徐々に増加傾向です。20歳代から増え始め、40歳代後半から50歳代にピークを迎えます。初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅い、授乳歴がないことがリスク要因とされています。普段感じなかったしこりが出現したり、乳頭からの異常分泌、乳頭や乳輪がただれるなどの自覚症状があります。
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子宮がん
20歳代から40歳代後半に多くみられます。いずれのがんも初期には自覚症状がほとんどありません。疑う症状としては、生理とは関係の無い出血やおりものがあったり、排尿しづらい、または、排尿するときに痛みがある。あるいは下腹部や腰が痛いといったことです。