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膵がん

膵臓とは

膵臓は胃の後ろ側に位置し、十二指腸とつながっています。形状は細長く接続部から頭部、体部、尾部に分けられます。膵臓の働きは主に消化酵素を含んだ膵液を分泌する外分泌機能と、血糖の調節に必要なホルモンを分泌する内分泌機能に分けられます。内分泌機能は膵臓にあるランゲルハンス島という部分が担っています。また膵液は膵管を通って十二指腸に分泌されます。非常に大事な血管が多い臓器です。

膵がんとは

膵がんとは、ほとんどが膵管から発生する膵管がんのことで膵がん全体の9割を占めています。膵がんは消化器のがんの中で最も治療成績が悪いがんの1つです。がん罹患者における死因は現在5位です。男性にやや多く、50歳以上になるとその発生頻度は増加します。膵がんは十二指腸つながっている方から、膵頭部がん、膵体尾部がん、膵全体がんに分けられます。特徴的な初発症状がなく、膵がんと診断された時にはすでにがんが進行し、他臓器に転移している場合が多いです。手術が唯一の根治治療ですが、7割から8割は手術の適応にならない、もしくは切除が可能であっても手術後の早期再発率が高い傾向にあります。膵がんには他に、嚢胞を形成するがん、粘液分泌が盛んながん、ランゲルハンス島が原発のがんなど、比較的予後の良いものもあります。

膵がんの治療成績向上のポイントは、早期発見・早期治療です。最近は技術の進歩により、早い時期の膵がんが見つかるようになり、治療成績も向上しています。

発生要因

膵がんの発生要因としては、食の欧米化や喫煙などの生活習慣、排気ガス・化学物質などの環境要因が挙げられますが、こういった要因と膵がん発症との関係性ははっきりとは証明されていません。しかし最近の研究で、慢性膵炎や糖尿病、家族内に膵がん罹患者がいると危険性が増すと指摘されます。

症状

初期症状はほとんどありません。進行するにつれて腹痛や黄疸、食欲不振、背部痛、倦怠感、体重減少などが現れます。なお、糖尿病の発症や糖尿病の急な悪化が膵がん発見のきっかけとなることも多いです。

膵がんの症状は乏しいものの発症場所により、病状の特徴が異なります。膵がんの60%は頭部にできますが、頭部は胆管が通っているため、がんで狭窄してしまい胆汁の流れが悪くなることで、黄疸が生じやすくなります。体部や尾部では、頭部と比べて胆管に影響が及びにくいため黄疸も出現しにくく、発見はさらに遅くなる傾向にあります。診断された時点では、手術不能という場合も多くあります。症状としては、便秘、下痢など一般的な消化器疾患と勘違いしやすく、たまたまCTや超音波検査をされた場合に見つかることも少なくありません。また、慢性膵炎の症状ともよく似ており、膵がんの発見はさらに遅くなる傾向にあります。

 

検査・診断

膵がんの検査は、主に内視鏡検査、血液検査、画像検査、組織検査に分けられます。

内視鏡検査

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)

十二指腸内視鏡を用いて検査を行います。内視鏡の先端を十二指腸に留め、十二指腸乳頭部に細い管を介して造影剤を注入し、膵管や胆管をX線撮影します。その際に、一部組織を採取する場合があります。

血液検査(腫瘍マーカー)

膵がんがあると、血液中の膵酵素が異常値を示すことがあります、発症していることが前提になるので早期発見には不向きです。

画像検査

膵がんの診断を行う上でたいへん重要な検査です。代表的なものは腹部エコー、CT、MRIです。特に、腹部エコーは容易に実施でき、膵病変のスクリーニング検査としてとても有用です。最近では、慢性膵炎と識別するためにPET検査も盛んに行われるようになっています。これらの画像検査は、ある程度の大きさにならないと発見できないため、本当の意味で早期がんを発見することはできません。早期で膵がんを発見するためには、膵管の拡張や小嚢胞といった間接的な所見を慎重に調べなければいけないと言われています。

組織診断

細胞または組織を採取して、病理医が顕微鏡で観察します。方法はいくつかあります。X線や超音波のもとで細い針を膵臓内に挿入し細胞を採取したり、腹腔鏡手術にて組織を採取します。

 

治療方法

外科的治療(手術)

膵臓は、胃や十二指腸など他の臓器と隣接しているため、膵臓だけを摘出することは少なく、周辺臓器も部分的に一緒に切除します。周囲には重要な血管もたくさん通っており、血管を切って吻合する必要が出てくるため、手術難易度はかなり高いです。膵がんの手術方法は、基本的にはがんの部分だけ摘出するのではなく、がんが広がっている可能性のある周辺の臓器やリンパ節を一緒に摘出します。切除範囲は、がんの存在する部位によって異なります。

膵頭十二指腸切除術

消化器系の手術の中で最も複雑な技術を要する手術であり、(胃)十二指腸、胆管、胆のうを含めた膵頭部の切除と胆管再建、血管にがんが広がっている場合は血管の一部も切除しますので血管外科の技術が必要になります。通常は、周辺のリンパ節の摘出も同時に行います。切除後は小腸と残った膵臓を縫い合わせ、膵液が小腸に流れるようにします。手術時間は8時間~10時間かかることがあります。

膵体尾部切除術

膵体部および尾部のがんの場合、膵臓の体部と尾部を切除します。通常は脾臓も摘出されますが、消化管の再建は必要ありません。術後の合併症としては、膵管空腸吻合部の縫合不全などの消化管縫合不全、膵断端からの膵液漏、糖尿病や消化吸収障害があります。

バイパス手術

姑息的治療として、胆管が狭窄・塞がり黄疸が出ている場合は、黄疸を解消するために胆管と小腸をつなぐバイパス手術(胆管空腸吻合バイパス術)を行ないます。また、十二指腸が狭窄・塞がっている場合は、食事ができるように胃と小腸をつなぐバイパス手術(胃空腸吻合バイパス術)を行います。

化学療法

抗がん剤

根治手術が不可能な場合や手術後に再発が認められた場合、抗がん剤による治療が行われます。ある程度決まった投与量や間隔でいくつかの薬を組み合わせて使うことが多く、ほとんどが点滴で投与されます。近年の医療技術の発展により、手術できない状況にあった患者様でも、抗がん剤が著しく効いたことで手術が可能となるケースも出てきています。

放射線療法

放射線治療

通常、抗がん剤と併用して行われることがほとんどで、手術が不可能でがんが局所のみに広がっている場合に行われことがあります。現在のところ、放射線療法のみで延命効果が得られとする確立された報告はありません。

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