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胃がん

胃がんとは

胃がんは、がんによる死因のうち2位を占めます。胃は、食道と十二指腸(小腸)をつなぐ袋状の器官で食べ物を一時的に蓄えたり、消化したりする役割があります。食道につながる方を噴門部、小腸とつながる方を幽門部といいます。胃の構造は、内側から粘液や胃液を分泌する粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜の5層構造でできています。この層のどこまでがんが浸潤したかによって呼び方が変わります。胃の粘膜、粘膜下層までの浸潤であれば「早期がん」、それより浸潤が進むと「進行がん」といいます。早期がんであれば、ほとんどの場合で完治させることができます。

発生要因

胃がんはすでに多くの研究が行われており、いくつかの発生要因が指摘されています。喫煙、野菜、果物の摂取不足や塩分の多い食品の摂取といった食生活などの生活習慣とヘリコバクターピロリ菌の感染などが胃がん発生のリスクを高めるといわれています。食生活については、の過剰摂取が指摘されています。

ピロリ菌

正式名称を「ヘリコバクターピロリ」といいます。だいたい5歳ぐらいまでに感染するといわれています。ピロリ菌はもともと環境衛生が良くない場所に生息していますが、生活インフラが整備された現代では生水を飲んでも感染することはほとんどないです。最近の研究結果では、母から子などの家庭内感染が疑われています。実際、50歳代は50%以上感染しているといわれていますが、30歳代で15~20%、20歳代だと10%以下だと言われています。
ピロリ菌はアルカリ性のアンモニアを産生して胃の粘膜を刺激し、免疫反応により胃の粘膜に炎症を起こさせます。炎症が長期化すると、今度は胃潰瘍を起こします。そこからがんが発生するため、胃がんの原因の多くはピロリ菌といわれています。

症状

代表的な症状は、胃周辺の違和感・不快感、みぞおち周辺の痛み、胸やけ、食欲不振、吐き気などがあげられます。発見されずに進行していくと、黒い便(タール便)や吐血が起こりますが、ほとんどの場合、こういった症状が出る前に胃カメラなどの健康診断で発見されます。

検査・診断

胃X線検査

俗に言うバリウム検査です。バリウム(造影剤)と胃を膨らませる発泡剤を飲んで、体位を変えながらレントゲン撮影をしていきます。フィルム画像にて診断を行います。

胃内視鏡検査

小型のカメラが先端についた管を口または鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸を胃の内側から直接観察していきます。腫瘍の大きさや数にもよりますが、その場で切除してしまうことができる場合があります。

腫瘍マーカー

胃がんでも腫瘍マーカーがいくつか確認されており、検査・診断できるようになっています。

治療方法

外科的治療(手術)

内視鏡的手術

先述した胃内視鏡を用いてその場で切除してしまう方法です。腫瘍の浸潤具合によって、切除の仕方が変わります。ポリベクトミー、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)のなどの術式があります。

胃局所切除術

胃の一部をくり抜くように切除を行い、がんを取り除く手術です。

胃部分切除術(噴門側切除、分節切除、幽門側切除)

胃を大きく切除する術式で、切除する部位によってそれぞれ名前があります。食道側の胃を切除する場合を噴門側胃切除術、胃の体部を切除する場合を分節切除術、十二指腸側を切除する場合を幽門側胃切除術といいます。それぞれがんができた場所・進行の具合によって術式が選択されます。

胃全摘術

胃をすべて取ってしまいます。代替えとして食道と小腸をつなぎ、その間に胃の代わりとなる袋を作成する手術です。
病変部位を切除した後はそれぞれ端と端の管をつなぐのですが、つなぎ方は様々ありそれぞれに名前がついています(ルーワイ法など)。また、術式は決まってもおなかを大きく開けて手術を行う開腹手術と、お腹の皮膚を数か所小さく切開して、そこに5㎜~12㎜の管を通し、その管に特殊な長い器械を入れて行う腹腔鏡下手術を行う場合があります。腹腔鏡手術の方が、切開創が小さいため術後の美容的には優れていますが、手術時間が伸びる・高度の技術が必要になるなどメリットデメリットがあり、どちらの方がいい悪いということはなく、病巣の状況にと患者様に容態に応じて使い分けられます。

化学療法

抗がん剤

ある程度決まった投与量や間隔でいくつかの薬を組み合わせて使うことが多く、点滴や経口で投与されます。

免疫療法

人間の体には、細菌やウィルスの侵入を防いだり排除すしたりする免疫という仕組みが働きます。がんによって免疫が弱まったり、がんが免疫から逃げる術をつけてしまうと、この仕組みが働かなくなります。そこで弱った免疫を高めたり、がんを逃さないようにする薬を使ってがんを消滅させてしまう治療です。ですが、まだまだ研究の余地があり、今後が期待されている治療法です。

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